広報にほんまつNo.142
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5Nihonmatsu City Public Relations, 2017.9, Japan毎朝、欠かすことのない夫婦の散歩。ほとんど目が見えなくなった、夫・孝よしまつ松さんの白杖を2人で持ちながら散歩する。「電車ごっこしてるみだいなんだぁ。」と笑って話す孝松さん。妻のあい子さんも一緒に笑う。網もう膜まく色しき素そ変へん性せい症しょうと分かったのは、20年ほど前の交通事故のとき。横から来ている車に全く気付かず事故を起こした。病院へ行って初めて目の病気だと分かった。網膜色素変性症は、徐々に視野が狭くなり、視力を失うことがある遺伝性の病気だ。郵送で送られてくる朗読サークル『ひばり』からのCD。「届く日が近くなると、『まだ来ない、まだ来ない』って待ってるんですよ。」と妻のあい子さん。届くとすぐに聴いているという。「声の広報」を聴き始めてから10視力を失った今、同じ視覚障がいを持つ人との交流会が楽しみだという。視覚障がい者は、なかなか外出することができないからだ。朗読サークル『ひばり』が年1回、交流会を開催している。ひばり会員と利用者などが集まり、お互いに話ができる唯一の場だ。孝松さんはいう、「こういう交流会があるということ、声の広報を届けてもらえるということ、同じ病気を持つ人が二本松にもいるんだということを、同じ視覚障がいを持つ人に知ってもらい、心の視野も広げてほしい。」年以上になる。だから、朗読サークル『ひばり』の音訳がすごく上手になったことも分かるそうだ。そして、聴こえてくる声から読んでいる人の気持ちまで分かる、だんだん疲れて来てるな…そしていつも思う、読むの大変だろうなと。読む人の声からその人の感情が伝わるinterview声の広報を利用する渡邉孝松さんと妻・あい子さん2、3年前までは、白い色だけ見えていた孝松さんのために、庭に白い色の花を植えた妻・あい子さん。取材に伺ったときは、白いキキョウが咲いていた。素敵な夫婦の形がそこにある。

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