広報にほんまつNo.88
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広報にほんまつ 2013.32二本松市消防団 東和地区隊隊長  佐藤 良さん(木幡)グループホーム『まいんど福の里』(向原)で管理者を務める平 和子さん(平石高田)佐久間 悦子さん佐久間 有紀ちゃん(智恵子の森)平成23年3月11日午後2時46分  マグニチュード9.0 二本松市震度6弱 今まで体験したことのない大きな揺れが私たちを襲いました。予期していなかった自然の怖さ、そして後に待ち受けていた幾多の困難。あの日、私たちは助け合いながら身の安全を確保しました。地域や仲間との支え合いなしでは生活できないことを再認識した瞬間でもありました。あの時、緊迫した状況の中さまざまな体験をした皆さんから、当時の状況、そして今現在の思いをお話しいただきました。あの日、あの時を忘れない…。地域を守る心を後輩へ伝えていく 市外で仕事をしている時に、あの揺れに遭遇したという佐藤さん。「家族の安否が気掛かりだったのと、当時地区の副隊長だったので、やはり地域の被災状況が一番に心配だった」と仕事を中断し自宅に向い、家族全員の無事を確認。すぐに法被を手に取り、東和支所に向かいました。支所では消防団の仲間たちが既に、被害状況の確認作業を始めており、佐藤さんも到着と同時に各分団との連絡等に追われたそうです。その後、一人暮らし高齢世帯の安否確認なども行い、自宅に戻ったのは夜中、翌日からも三日程は支所に詰め、地域の被害状況確認等に追われたそうです。 「地域の安全を自分たちで守ることは先輩方から受け継がれてきた精神です。このことを今度は若い団員に伝えていくことが自分たちの務めと思っています」と真摯なまなざしで語ってくれた佐藤さん。「震災後は、地域住民の消防団へ対する期待と信頼の高まりを肌で感じています。それに応えられるよう今後も訓練および指導をしていきたいです」と力強く話してくれました。目の前にいる入所者を守りたい オール電化の施設 震災直後、停電となった施設では暖房器具が一切使えないことが一番の問題でした。体温調整ができない高齢者にとって”寒さ“は体力を奪うだけでなく、命をも奪いかねません。平さんたちは、暖が取れる場所を求め、施設の電気が復旧するまでの3日間に2カ所を移動することになりました。 「入所者の中には、自分で歩けない方もいるので移動は困難です。でも、施設のスタッフが一丸となって行動し、一人もけがすることなく避難所へ到着することができました。自分たちも困難な状況だったのに、休日だったスタッフも駆け付けてくれて」と、その時のことを思い出しながら語ってくれた平さん。あの時の体験を基に、更に迅速な行動が取れるよう避難方法の見直しや備蓄品の再確認を行っているそうです。 「もう二度とあのような体験をしたくはありませんが、万が一、災害が起こってしまった際は、互いに協力し合って行動することが大切ですね」と話してくれました。娘が大きくなったら話してあげたい 有紀ちゃんは、3月11日の午前2時15分市内の病院で生まれました。そのわずか12時間半後、激しい揺れが母・悦子さんと生まれてきたばかりの有紀ちゃんを襲いました。幸いにも母子ともにけがはありませんでしたが、その後予期せぬ状況となります。物流が滞りガソリンや食料品などの物資が入ってこない状況が続きました。3人の子どもをかかえる佐久間さんが心配したのは、オムツと粉ミルク。「知人が必要となる物を持って駆け付けてくれたり、県外の会社に勤める親戚が”新生児が生まれて困っている“ことを同僚に話し、見ず知らずの私たちにペットボトルの水を送ってくれたりしました。娘のために大勢の方が助けてくれたことは一生忘れることはできません」と感謝の言葉をつづってくれた佐久間さん。 最後に「娘が大きくなった時に、生まれた日のこと、みんなに助けられて無事に育ったことなどを話してあげたいです」と語ってくれました。有紀ちゃんはもうすぐ2歳になります。

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