広報にほんまつNo.145

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7Nihonmatsu City Public Relations, 2017.12, Japan救急隊員たちの現場　救急隊員たちが駆け付ける場所に、「同じ現場」は存在しません。10人の傷病者がいれば、10通りの病気やけががあり、傷病者が助けを待つ場所も、部屋の中、道路、工事現場などさまざまです。　よって救急隊員には、現場へ行くたびに臨機応変な判断と行動が求められます。隊員たちのとった行動が、傷病者の命を左右することもあるため、現場では、一瞬たりとも気を抜くことができません。救急救命士とは　従来、人に対する医療的な処置を施す「医療行為」は医師のみにしか許されておらず、救急車で現場へ駆けつける救急隊員は、傷病者を病院へ搬送することが主な業務でした。しかし１９９１年、救命率の向上を目的に、医師以外でも緊急時に救命処置を行うことができるよう法改正が行われ、国家資格を必要とする『救急救命士』が誕生しました。　救急救命士のほとんどは、消防職員として消防署に勤め、救急隊員として事故や火災現場に急行します。　安達地方広域行政組合の消防署には、現場で活動する救急救命士が27人います。彼らのほとんどは、約半年間の研修を受け国家資格を取得し、救急現場に出動していきます。　救急救命士が行う医療行為は、一歩間違えれば人の命を左右するため、専門的な知識と経験が必要となります。よって救急救命士は、病院で医療実習を何度も行い、気管挿そう管かんなどを、実際の医療現場で習得します。救急救命士は医療人　１１９番通報の救急要請を受け出動する救急隊員は通常3人で、その内１人は必ず救急救命士が乗車します。救急救命士は病院への搬送中に限り、医師の指示で傷病者に対して、器具を使用した気道確保・除細動・静脈路確保（＝静脈内に針やチューブを刺して、薬剤などの輸液路を確保する処置）などの応急処置を行えます。責任感と使命感　消防署での取材中、幾度となくスピーカーから「救急入電中、救急入電中。場所二本松市…」と緊急指令の放送が鳴り響きました。私はそのたびにドキッとしましたが、消防署員たちはいたって冷静でした。　私たちが生涯、重度の傷病者や人の死の現場を目の当たりにすることは、おそらく数えるほどだと思います。しかしその衝撃は、一生忘れられません。　救急隊員たちは、私たちとは比較にならない数の傷病者や人の死と向き合っています。彼らはきっと、その責任の重圧に押し潰されそうになったこともあるはずです。しかし取材をして分かったことは、彼らにはその重圧をはねのける使命感があるということでした。　私たちのまちには、そんな頼れる救急救命士たちが、救命の連鎖の最終走者として控えています。私たちが救命士などへバトンを渡すための準備を怠らないことで、一人でも多くの救える命を救うことができるのだと思います。　救命士となってから多くの救急現場に出動しましたが、自分ができる限りの処置を行っても救えない命もあり、自分の、そして救命士の無力さを感じるときもありました。しかしある現場が私の考えを大きく変えました。　その傷病者は、ある朝突然意識を無くしました。異変に気付いた家族はすぐに救急車を呼び、ただ助けたいとの思いから、見よう見まねで胸骨圧迫を行ったのです。私たちが到着したとき、家族は必死の形相で胸骨圧迫をしながら、「助けてください、助けてください」と叫んでいました。今もその声は耳に残っています。家族から引き継ぎ観察を行うと心肺停止状態。すぐに心肺蘇生を開始し、また心電図に心室細動も確認されたため電気ショックを行いました。数回にわたる電気ショックの後、傷病者の心拍は再開し、さらには搬送先の病院で意識までも戻ったのです。　そのとき私は、大きな勘違いをしていたことに気付きました。命を救うのは救急隊ではないということを。　私たち救命士が行う処置によって心拍が戻る傷病者は、そのほとんどがバイスタンダー（居合わせた人）による心肺蘇生を受けています。このことは、救命士としての真価が発揮できるのも、救命の連鎖が途切れることなくつながっていたからに他なりません。救命の連鎖を確実なものにするには今後、自分の知識、技術、経験の向上だけではなく、全ての市民が応急手当を行えるような、安心して暮らせる二本松市を目指して、救急法の普及啓発にも尽力していきたいと思います。そして、皆さんから受け取った大切な命のバトンを、間違いなく次につなげるような救急救命士を目指していきます。多くの命を救うために～ 「救命の連鎖」の重要性 ～安達地方広域行政組合北消防署 救急第２係消防士長　小お沼ぬま　武たけ義よし さん平成27年３月、救急救命士の国家試験に合格し、約１カ月の病院実習後、救急救命士として日々精進していると話す小沼士長interview

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