広報にほんまつNo.156
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5Nihonmatsu City Public Relations, 2018.11, Japan自分が移住者だからこそ、この地域の魅力が分かる 「農家民宿ゆんた」を営む仲里忍さんは、東和地域に移住する前は東京都などで生活していました。だからこそ、この土地にもともと住んでいた人が当たり前に思っている風景などが、本当はとても魅力的なものであることを肌で感じています。大都市には無い静けさがあり、都会の人にとっては周りを散歩するだけでも楽しく、以前宿泊された方々は、あちこちに生育している食せる山野草の多さに驚いていたそうです。移住者だからこそ、この地域の魅力をナチュラルに引き出し、お客さまに伝えることができているのかもしれません。テレビが無くても、宿泊してくれる方からたくさんの情報がもらえる 「農家民宿ゆんた」では、基本的にテレビを置いていません。仲里さんの情報の収集元となるのが、宿泊されるお客さまとの会話です。「農家民宿にはいろいろな地域から泊まりに来てくれて、一緒に農作業をしたりご飯を食べたりしながら、多様なものの考え方や地域の話が聞けます。自分が経験したことの無いことを疑似体験できて、自分の世界が広がるんです。お客さまとのコミュニケーションが、農家民宿を営む魅力のひとつです。」と仲里さんは笑顔で教えてくれました。実際に取材していても、お客さまと仲里さんの間で会話が途切れることがなく、テレビが無いことに不便さを感じることは全くありませんでした。広がる夢 移住して10年。すっかりこの地に根付いている仲里さんに、これからこの民宿をどうしていきたいかをお聞きしました。 「東和地域は山間地帯。地元の方には、それを不便と感じる人もいます。しかし、私のようにこの地に移住してくる人間や農家民宿に訪れるお客さまは、不便さよりも、その山々の景色を魅力に感じて来ています。そういった環境の中で、あまりお金は掛けられませんが、自然を楽しめるようなデッキを作ったり、ピザ窯なんかも作って、自然の豊かさをたくさん感じながら、この民宿で1日中楽しめるようにしていきたいです。また農家の冬場は閑散期で、昔の人は竹籠や草履を作っていましたが、この技を継承する人が減っています。できればこの技を受け継ぎ、宿泊してくれるお客さまと一緒に、竹籠や草履を作る体験会などもしていきたいです。」 私は台湾の台北出身で、仕事はソフトエンジニアをしています。もともと日本の文化が好きだったため、今から1年前、海外でいろいろな経験を積みたいと思い東京の会社へ就職しました。「農家民宿ゆんた」を知ったのはインターネットからです。山の中にある宿の神秘さと、仲里さんのやさしそうな笑顔に惹かれ、「ここだ!」と決めました。実際に来てみると、周りの雰囲気がゆったりしていて気分がとても楽になり、建物が多くいつも忙しそうな都会では絶対に味わえない気持ちになれました。一緒に野菜を収穫したり、採りたての野菜をその場で食べたり、みんなで料理をして食べたりと、全てが日本に来て初めての体験でとてもうれしく、新鮮でした。今度はぜひ、台湾の友達を連れてまた泊まりに来ます。黄ファン 基ジー城チェンさん(台湾出身)Interview東京での仕事のことを忘れ、とてもリラックスできました「農家民宿ゆんた」オーナー仲なか里さと忍しのぶさん(45歳)沖縄県北大東島で生まれ、小学生のときに父親の出身地である八重山の石垣島に移り住む。高校を卒業後、大阪の専門学校で建築や製図などを2年間学び、その後、派遣社員として各地で勤務する。沖縄出身の仲里さんは、東京に住む憧れがあったため、派遣期間終了後、東京や神奈川で数年間仕事をしながら生活していたが、実際に住んでみると住みづらさを感じ始めた。そのころから就農への夢を持つようになり場所を探していたところ、ある雑誌で東和地域で行っていた農業研修制度を知る。平成20年に東和地域で半年間農業研修をしたのち、現在農家民宿を営む家と畑を借りて本格的に農業を始める。平成25年から始めた農家民宿「ゆんた」の名前は、沖縄を代表する民謡「安里屋ユンタ」から付けたもので、築100年の古民家を生かした囲炉裏や薪ストーブ、趣のあるインテリアは、仲里さんのおもてなしの心からの癒やしの空間。お子さんのいる家族や幅広い年齢層、また海外からのお客さまも近年では多い。

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