広報にほんまつ.No171
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17Nihonmatsu City Public Relations, 2020.2, Japan 殿との川がわ慶けい一いちさん(70)は、安達太良山の麓、塩沢地区で日本酒を製造する工場「東日本酒造協業組合」の杜とう氏じです。 実家は長崎県壱い岐きの島しまで焼酎を造る酒蔵。殿川さんは醸造を学ぶため東京農業大学に進学しました。そこで出会った小泉武夫教授(福島県小野町出身)の誘いもあり、酒造りの修行のため二本松に移り住み、現在にいたります。 杜氏の殿川さんが理事も務める東日本酒造協業組合は、「奥の松酒造」の原酒工場で、全国新酒鑑評会では21年間で20回、11年連続の金賞受賞と全国にその名を轟かせています。 また、製造に携わった清酒「あだたら吟醸」は、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2018で、日本酒部門の最優秀賞「チャンピオン・サケ」を受賞し、日本酒部門「世界一」の栄冠を獲得しました。醸造の技術革新 高品質な酒をリーズナブルに提供することで、より多くの人に酒を楽しんでいただけると殿川さんは考え、工場では積極的に機械化を進めてきました。 「何事にも通じますが、道具を大切にしています。原料処理の機械装置を毎年改良するなどして、おいしい酒を造るための良い方法を常に追求しています。」と殿川さんは言います。科学による品質管理と味の決め手 「製造工程では、甘さ、アルコール度数、酸度を始めさまざまな成分の専門的な分析を行い、数値管理を行っています。しかし、同じ数値が出ていても、搾るタイミングなどで味が変わってしまうこともあります。」 「機械的・科学的に管理できる部分もありますが、最終的には、ベロ(舌)メーターです(笑)。」酒造りの理念 「酒造りは、手作りを基本としてそれをスケールアップしていくだけです。『1つ1つの工程を大切にして、入口から出口までをしっかりと』酒造りをするのがモットーです。」と殿川さんは言います。 長年の経験と知識により裏打ちされた醸造技術。機械をまるで自分の体のように使って、おいしい酒を丁寧に造ります。 二本松が、福島が誇る名工は、今日もおいしい酒を造るため、前に進んでいました。1_表彰状を手に笑顔を見せる殿川さん2_工場内は機械管理されている3_発酵させた酒米の仕込み321

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