菊
これらの作品は現在智恵子記念館に展示(期間限定)してある智恵子の紙絵です。
簡単な手工を勧めることがいいと聞いた光太郎は、当時、病に侵されて入院中だった智恵子に千代紙を持っていきました。それが紙絵を始めるきっかけとなりました。
大変よろこんだ智恵子は千羽鶴を折りつづけました。
青い魚と花
だんだん折鶴以外のものも折るようになり、色紙をはさみで切って美しい模様の紙細工を作るようになりました。光太郎いわく、その紙細工は『立派な芸術品』であったそうです。
それからは体調を崩さない限り、毎日紙絵を作り続けました。
葡萄
はじめは1枚の紙で作る単色のものでした。やがて色彩にこだわるようになり、智恵子が作る美しい見事な紙絵は千数百枚にもおよびます。
これらの数多くの紙絵は、すべて夫光太郎に見せるがために創られたものだといわれています。
シクラメン
病のせいか口を閉ざしてしまった智恵子が紙絵作りに没頭したのは、それが光太郎に想いを伝える唯一の手段だったからかもしれません。
二人の芸術家が築きあげた純愛という名の作品に紙絵を通して触れてみてはいかがでしょうか。
白い小鉢
参考文献:高村光太郎 『新風土』 智恵子の紙絵(S14.2)