県立安達東高校の生徒が作った「第3のみつ」といわれる「おにばばのなみだ」。
二本松の鬼婆伝説にちなんで名づけられたハチミツをご紹介します。

畜産・野菜の授業コースを選択した生徒たちが、平成26年から始めた養蜂は、今年で4年目を迎えました。
野菜や、くだものの果汁をミツバチに吸わせ、ハチミツに転化させる新しい養蜂技術「第3のみつ」の生産に取り組みはじめて2年。
生産量は昨年と比べて3倍と大幅に増え、販売に至る運びとなりました。

▲巣箱の確認作業をする生徒ら
二本松市の羽山リンゴを利用して作る「第3のみつ」を特産品にしようと挑戦を続けています。
羽山のリンゴ農家さんの協力を得て、規格外のリンゴをジュースに加工し、糖度45度まで煮詰めます。
沈殿物がなく、ミツバチが普段吸っている花の蜜に近づけたリンゴジュースを作り、それを給餌器に入れてミツバチに吸わせます。
昨年は、給餌器のリンゴジュースでミツバチが溺れてしまい、多くのミツバチを失いました。
失敗と工夫を繰り返す、試行錯誤の日々。
給餌器に浮きを入れ、ミツバチが溺れないようにしたり、巣箱の給餌器を2つに増やしてリンゴの風味を強められないかなど、さまざまなチャレンジを試みています。


取材に伺った日は、生徒たちは実習で採蜜を行っていました。
通常のハチミツは、4月下旬から6月下旬まで10日に1回くらいのペースで採蜜をします。
6月下旬のこの時期は、栗の花の蜜が採れるそうです。

▲糖度計を使って糖度を計測
採蜜する時期によって開花している花が違うため、ハチミツの色も味も全く違ってきます。
ただ、通常のハチミツも「第3のみつ」も糖度は80度以上あり、十分な甘みとコクがあります。


ハチミツを瓶に詰め、ラベルを貼るなどの作業も、生徒たちの手によって、ひとつひとつ丁寧に仕上げられます。
こうしてできたハチミツは、道の駅安達下り線にて販売されています。

今年から同じ道の駅安達下り線にある二本松ベーカリーでハチミツをつかった「ハニートースト」も販売されています。
生徒たちにも試作品を食べてもらい、販売に至ったそうです。

名前は、生徒たちが決めました。「bee happy」
ハチミツがたっぷりしみ込んだトーストは、昼ごろにまでに完売となってしまうほどの人気商品なのだとか。
一日50個限定で、材料のハチミツがなくなり次第、販売も終了となるそうです。

養蜂を通して、生産から販売までの流れができ、この取り組みが、県学校農業クラブ連盟意見研究発表大会プロジェクト発表(生産・流通・経営)部門で見事、最優秀賞を受賞しました。
8月には東北大会へ出場するそうです。

▲畜産・野菜の授業コースを選択している3年生5人
「実習が楽しい」と話す生徒たち。
県内の高校では安達東高校だけ取り組んでいる養蜂。
今後は、さらにミツバチに与えるリンゴジュースを改良するなどし、リンゴの香りをさらに深めたいそうです。
「食」や「農」を学ぶ生徒たちの取り組みが、地域を動かす原動力になる。
それは、地産地消の大きな一歩、そして何より地域活性化の大きな力となっていることは間違いないのではないでしょうか。
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