二本松の名産品であるキュウリ。市内にはたくさんのキュウリ農家さんがいらっしゃいます。
収穫最盛期の中、今回取材させていただいたのは、新生町の二本松農園を営む齊藤登さんです。
里山の農業
美しい里山の風景が広がる二本松農園では、主にキュウリ、米を栽培しています。
手入れの行き届いた広大な畑では、たくさんのキュウリが実をつけていました。成長が早いため収穫時期の見極めが重要です。
キュウリはとても繊細で、栽培する上では病気に一番気をつかいます。さらに草刈りや間引き作業が一番の重労働です。
10人の若いスタッフの方が主に農作業を行っており、齊藤さんは農業指導を始め、営業販売、経営等を行っています。
近隣市町村から通勤している人も多く、子どもを持つ女性も活躍しています。
スタッフは、離職せず長年働いている人ばかりです。齊藤さんは、スタッフのこの作物を育ててみたい、こんなことをやってみたい、というチャレンジ精神を応援しています。ただの労働ではなく、自分で考え自由に挑戦することを大事にしていて、それをサポートするため、様々な補助事業も活用しています。
農業をやってみたいという人は多いですが、農業指導や生活の確保など、サポート体制を整えていないとなかなか定着しません。その点、二本松農園では手厚いサポートを行い、農業の担い手を育てています。
農業者としての取り組み
齊藤さんが主催している「NPO法人がんばろう福島、農業者等の会 里山ガーデンファーム」は、会津から浜通りまで県内広く50以上の生産者が参加し、さまざまな取り組みをしています。
販売については、ワンストップで県内の農産物注文を受け付けていて、消費者は生産者から農産物を直接買うことができます。生産者みんなで協力することで、様々な種類の農産物を提供することができ、販売の魅力アップに繋げています。
丹精込めて育てた農産物の販売に力を入れることで、仕事のやりがいにもつながります。作った農産物をただ地元のJAに出荷するだけでなくさまざまな販路を確保するなど、他の農家さんに比べて、販売に力を入れています。
品質の高い齊藤さんのキュウリは、さまざまな販売先で評判です。東京のそばチェーン店へ卸すほか、二本松農園のネット通販には5,000人ほどの会員がいます。このほか多数の販売先で、毎月受注販売しています。
それだけでなく、農園を見に来て農業体験をすることができます。
二本松農園での農業体験のお客さまも、今年はコロナウイルス感染拡大の影響により来られなくなってしまいましたが、それでも「福島の農業の状況を知ってもらいたい」というのは変わらない思いです。
農業の今後
齊藤さんは、農業の6次産業化(※)を進めていくことで、農業のさらなる発展を目指しています。
テレワークの普及により、移住に興味を持つ人も増えてきている昨今。移住者による新たな農業も期待されています。
また、齊藤さんが重視しているのは、福祉や育児との連携です。子育て中の女性が働きやすいよう、子どもと一緒に出勤してこれるようにしたいと考えています。子どもが遊んでいる周りでお母さんたちが食品の加工作業を行う、という建物を近いうちに作る予定だそうです。
※6次産業化…加工品販売・農家民宿や農家レストランなど、生産者が加工・流通まで行うこと。所得向上や雇用創出、地域活性化、風土や伝統文化の保全のメリットがある。
新規就農者の紹介
鈴木育未(すずきいくみ)さん
青年海外協力隊としてペルーに1年間行っていましたが、新型コロナウイルスの影響で帰国となりました。
ペルーでは、「コミュニティ開発」として地域おこしのような仕事、農業の収益向上の指導などを行い、マンゴーやパパイヤなどの農業に携わっていました。帰国後、以前より農業に興味があったため農業をやりたいと一念発起。二本松農園の動画制作会社と知り合いだったことが縁で、齊藤さんのところへ。
東京生まれ東京育ちですが、7月に二本松市に移住して、二本松農園に通勤しています。外からの目線で、どんな魅力があるのかを学び、発信していきたいとのこと。
取材中、「鈴木さんはここからここまでの土地を自由に使って、作物を植えるも良し、見て楽しめる場所にするも良し、何でもやりたいことをやってみて」と齊藤さんからの提案がありました。
鈴木さんは、わくわくしながら展望を考えていました。今後の活躍が期待されます。
お問い合わせ
福島 里山ガーデンファーム
二本松農園
住所:964-0976 二本松市新生町490
電話:0243-24-1001
Fax:0243-24-1536
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