二本松市東和地域の豊かな自然の中にある窯元、琴星窯(きんせいがま)では、庄司人志さんが数々の作品を生み出しています。
庄司さんは東京で働いていましたが、平成18年、現在の場所に築窯しました。
陶芸の道に進むための移住先として、生活上のさまざまな立地条件を考え、さらに自然豊かな場所ということで選んだそうです。創作活動の傍ら、自家消費用の野菜や果物も多く栽培しています。
陶芸作品は、非常に手がかかり、制作から出来上がるまで少なくとも1カ月以上はかかります。制作方法にはさまざまな種類がありますが、ここでは工程の1つの例をご紹介します。
工程の一例
- 成型
- 乾燥:乾き具合にムラがあるとひび割れの原因となるため、ゆっくりと時間をかけて乾燥します。
- 素焼き:800℃で10時間焼き、2日間かけて冷まします。
- 釉薬(ゆうやく)をかけたり、絵付けをしたりしたら、さらに乾燥させます。
- 本焼成:1230~1250℃で20時間焼き、2日以上かけて冷まします。
練込象嵌(ねりこみぞうがん)
庄司さんの作品の代名詞となっているものが、色鮮やかなデザインが目を引く練込象嵌(ねりこみぞうがん)です。
練込象嵌とは、ベースとなる粘土の上に色の異なる粘土を置き、埋め込むことで装飾する技法です。
土に顔料や酸化金属を混ぜ、色土を作ったら、寄木細工や金太郎あめのように組み合わせて模様を作ります。これを「練り込み」と言います。
練り込んだパーツを、成形した生地に埋め込み「象嵌(ぞうがん)」します。
その後、段差などを削り絵付け、乾燥、素焼き、釉掛け、本焼成となります。
陶器はシンプルな作品の方が売れるそうですが、オリジナリティ、独自性がないと自分のブランドが確立できません。これまで何度も失敗を繰り返しながら、練込象嵌を極め、それがオリジナリティになりました。
また芸術品である一方、手に取りやすいものも多く作っています。
庄司さんはこれまで展覧会等のイベントや陶芸教室などで、陶芸に親しんでもらおうと積極的に活動してきました。しかし現在は、新型コロナウイルス感染症の影響でイベント中止が相次ぎ、先が見通せない状態が続いています。
「このような状況の中、生活必需品とはいえないものの、少しでも多くの人に陶芸作品に親しんでもらい、知ってもらえたら嬉しい。」と話します。
庄司さんの作品は、「道の駅ふくしま東和」などでも取り扱っています。身近な芸術作品に触れてみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
琴星窯(きんせいがま)
住所:福島県二本松市木幡字小鍛冶山188
電話:0243-46-3179