種別
重要文化財 彫刻(県指定)
指定年月日
昭和56年3月31日
所在地
二本松市二伊滝1-81
所有者(管理団体)
龍泉寺
概要
像高149cm。ヒノキ材の一木彫成で、漆箔、両肩・肘先・足先等をハギ合せる。形態は、左手に白蓮華をとり、右手でそれを念ずる聖(正)観音通例の姿となっている。
後補の金属性の宝冠、瓔珞を飾るが、宝髻は小さく、また面貌は彫眼で厳しく、目と口唇は彩色する。耳朶(みみたぶ)は太く張りがある。
上半身は、左肩から右腰にやや幅広い条帛をかけ、腰裳の折りかえしや下肢のまとめは慶派の影響をうけ古様も見られるが、ややバランスに崩れがあり、製作年代は鎌倉時代末期であろう。左脇に焼痕が見られるが、原型を損うことはない。両肘にかかる天衣は後補である。
なお、龍泉寺は『永松山略記』によれば、もとは白光山瑞祥寺と称し、元応2年(1320年)に恵燈律師が行基菩薩作の正観音を得て開山したという古刹である。真言律宗であったと思われる。応安7年(1374年)と応永13年(1406年)の2度火難にあったが、幸い仏像は難を免れたと縁起にある。
寛正元年(1460年)、加賀金剛寺の祖超禅師の高弟直心禅師によって再興され、以来曹洞宗に変わったという。元禄9年(1696年)当時の末寺は23ヶ寺あったと伝えられている。
以上、この寺の観音堂の秘仏として安置されてきた本像は、『縁起』の伝承とも一致する貴重な存在である。