道行く人 つつがなきや
新型コロナウイルス感染症が世界中で慢延し、日本でも各地において感染が拡大しております。
東京オリンピックの開催延期、学校一斉休校、二本松の提灯祭りをはじめ、祭りやイベント中止など、様々な面で大きな影響を与えております。
こうした中で、市民の命と生活を守り、感染防止と経済再生に全力を尽くしてまいりました。日々、全ての人々の「つつがなきや」と願っているところです。
さて、かつて市内の亀谷に「切通しの坂」と呼ばれる急な坂で通行の難所がありました。
この坂は大工事によって切り下げられ国道となり、町の南と北を結ぶ重要な道路「切通し」となりました。
「切通し」の開通により、人や重い荷を曳(ひ)いた牛馬が毎日のように通るようになり、それを見た通称「村越の小父(おじ)さ
ん」と呼ばれた料亭「村越」の加藤豊治さんが、この頂上に、「水飲み場があれば道行く人が助かる」と考え、私財を投じて清らかな水を導き出し、旅人や通学生、牛馬のための水飲み場を作りました。これを「豊潤水」と呼びました。
この「豊潤水」の周辺に、汽車に乗る人のために時計を設けた人、花を植えてくれた人、散水や近辺の清掃をしてくれた人、立派な彫刻を飾ってくれた人がおりました。
県知事が旅人に旅の安全を呼びかける碑を建てました。
「道行く人 つつがなきや」
何事もなく健康で元気でいてほしいと願う二本松の人々の優しい願いが込められております。
新しい年が「つつがなきや」と心から願っております。
二本松市長 三保 恵一